I♥NYのデザイナー、ミルトン・グレイザーの最後の『言葉』から教えられたもの

前の記事で、I♥NYのTシャツについて言及しましたが、そのロゴマークのデザイナー、ミルトン・グレイザーがつい先日6月26日に他界したのでした。グレイザー氏について調べたので書いてみます(と書いてますが、実は彼が他界後にどういう人が知ったのですが…)。

グレイザー氏は1929年ニューヨーク市生まれ。このロゴは1977年にニューヨーク州の観光振興の取り組みで制作されたもので、当時の同市は犯罪の多発や停電、経済状況の悪化という負のイメージがあり、それを払拭する目的かと思われます(CNNの記事より引用)。

さて、I♥NYですが、シンプルですよね。やりがちなのは、街をきれいにしようとか、よい街にしようとかの標語みたいなものかと思いますが、それよりも説教くさくないです。Tシャツにロゴをつけたのはロゴが広く認知されてからのようですが(出典:ウィキペディア)、Tシャツがメディアだからこそ世界中に広まったのだと思います。私はNYが好きという、言わば宣言を胸に貼って歩いているわけですが、『I♥』だとぱっと見宣言しているように思えないので気軽に着られるというということかもしれません。

なお、グレイザー氏のウェブサイトでは、彼がタクシーの中で描いたというI♥NYのスケッチ画像も紹介されてました。

記事タイトルでは最後の『言葉』と書きましたが、最後の仕事としてグレイザー氏のInstagramで紹介されていたのがこちら。

デザイナーのイグナシオさんの言葉が添えられていますが、『COVID19危機の中で共同体意識を高める何かを作りたいと思って作ったもの』とのこと。文字一つ一つを見ると、大文字小文字の区別がなく、フォントもバラバラで色はレインボーカラー(だけど色の向きは揃ってない)、そしてちょっとだけ隣の文字とくっついてる。多様な考えの多様な人々がお互いにちょっと寄りかかってる感じ。昔の言い方ですが人種のるつぼ(アメリカを象徴する言葉、今後はこの言い方どうなんでしょう)を思い出しました。
これもI♥NY同様に、シンプルだけど直接的ではなくて、皆に開いている感じがして、そこがいいんですよね。

なお、上記Instagram投稿でも言及されていますが、最後のインタビューがニューヨークタイムズに掲載されています。こちらはまだ読んでいませんが、書き加えることがあれば後ほど更新します。

もうひとつ。こちらも全く知りませんでした。

同時多発テロが起きた2001年9月11日の週にニューヨークの町中に配られた小さなポスターに描かれたもので、その後デイリーニュースの一面と最後の面に使われたそうです(出典:https://www.miltonglaser.com/store/c:posters/912/i-love-ny-more-than-ever-2001)。ハートのとこが少し黒くなってます…

単純な言い方かもしれませんが、これらの仕事には愛を感じますよね。
あ、グレイザー氏のウェブサイトのトップページスライドで紹介されている彼の言葉通りでした。

『YOU CAN ONLY WORK FOR PEOPLE WHO YOU LIKE.(人は自分が好きな人のためしか働けない)』 。

そしてスライドの始まりは、『THE GOOD IS THE ENEMY OF THE GREAT.(goodはgreatの敵だ)』。ですよ!

おまけ:
グレイザー氏のアーカイブのInstagramもあるのですが、こちらを見てたら驚きました。

ベアズビルレコードのロゴも作ってるんですよ!えー、トッドラングレンが好きだったから高校生のときから目にしてたんですよね。ちなみに、ブルックリンラガーのロゴもそうなので、知らなくても結構目にしていたんだと改めて気づいた次第です。

おまけ2:
TogETheR Tシャツをエアティーしました。めちゃめちゃ着たいですよ!

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