Social DistanceのTシャツをデザインして以来、Tシャツはもう買わないで作ればいいのかなと思っていたのだけど、気になるTシャツの話を聞くとやはり欲しくなってしまい、7月以来ちょこちょこ買ってます。面白いことに、Tシャツを買う側の立場で見ていた頃には気づいていなかったのに、自分でデザインしたモノを見て買ったモノと比較することで初めて気づくことってあるのですね。ざっくり言うとTシャツの作りです。Tシャツをデザインする上でも、素材としてどのメーカーのTシャツを選択するかは大事なんだなと気づいたので覚書もかねて何回かに分けて書いてみます。
上記写真の3枚の白Tは最近購入したもので、紺Tは昨年購入したものですが、襟の形が違うのですよ。
- 上左:一般的なTシャツにプリントしたもの、リブ襟つき、首の開きはこう比較すると深く見える
- 上右:おしゃれTシャツ、リブ襟なく身頃を中に折って縫製した襟、首の開きはかなり浅い
- 下左:おしゃれTシャツ、リブ襟つき+リブに縫い目あり、首の開きは浅い
- 下右:無印Tシャツ、リブ襟つき+リブに縫い目あり、リブが細い
襟だけに着目しても多様ですよね。気になって検索してみたら、こんな記事を見つけました。
「Tシャツの衿(ネック)部の縫製方法」
https://bittercats.jp/blog/about-neck-sewing/
記事によると、襟のつけ方は大きく二種類あり、リブなどで襟をつける方法(ロック付け襟)と身頃生地を挟んで襟をつける方法(バインダーネック)とがあるそうで、上の写真でいえば、上右以外はロック付け襟で、上右は身頃生地を挟んではいないのでバインダーネックではなくて襟なしでしょうか(あくまでも私見です)。
リブ襟に縫い目ありなしに関しては、リブ襟をつけただけだと表側の襟に縫い目はないですが、裏側にロックの縫い目が浮いてしまうとのこと。それを抑えるために縫うそうで、したがって襟の表側にミシン目が出るようです。『ロックの縫い目が浮いてしまう』というのは、表からみたときにリブよりも身頃がふわっと浮いて見えるということを指しているのかと思ったのですが、合ってますかね。個人的にはふわっと見える感じよりも抑えた方が好きなんですよね。
話は変わりますが、Tシャツって長く着ると襟周りがほつれたり、穴が開いたりしませんか?
1996年にシカゴに行った際にTシャツを何枚も買ってきたんですね。それらは今でも着ているものもあれば、押し入れにしまい込んだものもあります。最近押し入れから出してみたら襟周りに穴が開いているのに気づいて、同時期に買ったのにこの差ってどういうことなんだろうと思ったのですね。で、比較してみたら、襟のつけ方と補強の仕方に違いがあることがわかったのです。以下がそのTシャツでして、グレーTが良い方で、白Tがダメな方(穴開き)です。
前から見ると、白TもグレーTもぱっと見同じような縫製です。襟の後ろは身頃と同じ生地で包まれていて補強されています。
ところが、後ろから見ると、グレーTは襟の後ろの補強が左右の肩まで続いていますが、白Tは補強は襟の後ろだけ。しかもリブ襟の縫い目が前後身頃を縫い合わせる肩の縫い目と同じ位置にあり、肩口は二重に補強が弱くなっています。だから、肩口からほつれて穴が開いたのですね…
ちなみに、グレーTのように、左右の肩から首の後ろまで身頃と同じ生地でテープ処理することをタコバインダーというそうです。タコバインダーは目的としては襟が延びるのを防ぐためだそうなので、タコバインダーしていないから補強が弱いということでもないようです。タコバインダーの有無は裏返すとよくわかりますね(グレーTがあり)。
また、リブの輪っかの縫い目は左肩線の1.5cm後ろのところに置くという情報もあり、上の写真の裏返しのグレーTもそうなっていますが、家にあるTシャツを見てみると大体このようになっていました。
穴の開いてるTシャツは画像でどこのTシャツか分かってしまいますが、家にあるこのタグのTシャツ(いずれも古いもの)は肩とリブの縫い目が同じ位置でしかもリブは輪っかにしていなくて左右に縫い目があるので、1990年代はそういう仕様というか、そうなってしまう工程で作られていたんだなと思います(最近のは調べていません)。
個人的な経験からだと、肩まで補強されてた方が安心と思ったのですが、上に紹介した記事によれば、『襟が延びてはいけないという命題』と『Tシャツ本来の伸縮性とか柔軟性といった特徴』という狭間で試行錯誤していることがわかり、そのような課題に取り組みながら改良を重ねているのだなと思いました。
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ソーシャルディスタンスTシャツ作りました
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