「トランクの中の箱」シリーズA〜Gはどう違うのか

引き続き「トランクの中の箱」ですが、私が購入したものがSerie Gのレプリカなので、A〜Fはどうなっているのだろうと気になってしまいました。ざっとまとめておきます。

「トランクの中の箱」とは

ウィキペディアのde ou par Marcel Duchamp ou Rrose Sélavy (La Boîte-en-valise)から引用します。

アーティスト自身が考案したマルセル・デュシャンの作品の複製シリーズ。それ自体が芸術作品である最初のトランクは1936年に作られ、1941年に発表。

作品はAからGまでの7つのシリーズでリリース。

最初のシリーズAは、1/XXからXX/XXまでの番号が付けられており、ボックスの蓋に取り付けられたオリジナルのアート作品を含むデラックス版で、69個の複製が含まれている。

1966年まで生産されたシリーズFは、前のシリーズの68作品に加えて、12作品が追加(貞潔の楔、オブジェ=ダールなどが含まれる)。

シリーズの違い

MoMAで1999年に開催された展示「The Museum as Muse: Artists Reflect」にA〜Gまでのシリーズが出展されていたようでして、当時のリストによると以下。
https://www.moma.org/interactives/exhibitions/1999/muse/exhibition_check.html

  • シリーズA
    • 1935-41
    • 形状:レザートランク(画像を見るかぎり茶色)
    • アイテム数:69
    • 箱のサイズ:40.6 x 38.1 x 10.2 cm(16 x 15 x 4 インチ)
  • シリーズB
    • begun Paris, 1941, and continued New York, 1942-54
    • 形状:ボックス
    • アイテム数:68
    • 箱のサイズ:39 x 35 x 8 cm
  • シリーズC
    • Paris, 1958
    • 形状:ボックス(ナチュラルリネンで覆われ、グレーブルーのアングル紙で裏打ち)
    • アイテム数:68
    • 箱のサイズ:40 x 38 x 9 cm
  • シリーズD
    • Paris, 1961
    • 形状:ボックス(薄緑色のリネンで覆われ、薄緑色のアングル紙で裏打ち)
    • アイテム数:68
    • 箱のサイズ:40 x 38 x 9 cm
  • シリーズE
    • Paris, 1963
    • 形状:ボックス(ダークグリーンのイミテーションレザーで覆われ、ライトグリーンのアングル紙で裏打ち)
    • アイテム数:68
    • 箱のサイズ:40 x 38 x 9 cm
  • シリーズF
    • Paris, 1966
    • 形状:ボックス(赤い革で覆われ、赤いリネンで裏打ち)
    • アイテム数:80
    • 箱のサイズ:41.5 x 38.5 x 9.9 cm
  • シリーズG
    • Paris, 1968
    • 形状:ボックス(緑の革で覆われ、緑のリネンで裏打ち)
    • アイテム数:80
    • 箱のサイズ:41.5 x 38.5 x 9.9 cm

トリビア

  • 日本で「トランクの中の箱」を展示する機会がいくつかあった模様
    • 2010年2月〜3月(高松市美術館)
      http://itozaki.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post.html
      シリーズFが出展されたと思われる
    • 2013年9月14日(セゾン現代美術館)
      https://karuizawa-kankokyokai.jp/event/4326/
    • 2019年11月〜2020年3月(兵庫県立美術館)https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_1911/marcel.html
      シリーズGが出展された
      この展示意図が面白いと思いました(本作は、購入したコレクターが個人的に手に取って眺めるか、或いは美術館等で公開される場合にはその集合体的な性質が強調され、「箱」の周囲に個々の要素が折り重ねられる展示方法が一般的です。 (中略) この小企画展では、本作の個々の要素(80アイテム)の提示を試みます。)。
  • 塩売りって
    上記兵庫県立美術館の展示タイトルは「塩売りのトランク マルセル・デュシャンの『小さな美術館』」。塩売りのトランクがどこから来たのかと思ったら、作家の名前のアナグラムでMarcel DuchampがMarchand du Sel(塩売り)となってるとのこと(毎日新聞の記事より)。そう言われてみれば、高輪美術館のマルセル・デュシャン展図録でも《塩売り》はでてきてましたね。

最後に、シリーズAとFの画像貼っておきます。
出典:
https://www.moma.org/collection/works/80890
https://www.moma.org/collection/works/74554

ちなみに、購入したシリーズGレプリカについて補足すると、2016年に復刻、2020年に復刻版の再販として制作されたもののようです。twelvebooksのサイトに書いてありました。
https://ja.twelve-books.com/products/boite-en-valise-by-marcel-duchamp


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